『君へ捧げる物語』【前編】



「パパ、仕事は?」

 家に戻ってから、パパはずっと無言だった。

(やっぱり、怒ってるよね。黙って部屋抜け出して、嫌われたかな……)

「終ったよ。データは送信済み」

「そう……」

「今日偶然、あの公園で綾瀬さんが刹那を見かけたらしくてね」

(そっか、だから電話が……)

「まさか花白ちゃんが一緒だとは思わなかったよ」

 寂しそうに、パパは笑う。

「ごめんなさい。だって、パパ仕事ばかりで寂しかったから……」

 寂しいと、言えなかった。
 パパを困らせたくなかったから。
 だけど、結局困らせてしまうんだね。


「花白ちゃん、ごめんね……」

「パパ、んん……っ!」

 優しく顔を手で挟まれ、キスされる。
 一ヶ月ぶりのキス―――

「んぁっ…や、あぁ…っ……」

 キスをしながら、互いに服を脱がし合う。
 そして、早急に身体が結ばれる。

 日頃のパパからは、考えられない行動。
 でも、嬉しい。パパもそれだけ私を欲しがってくれてるってことだと思うから。

「ひゃっ! あんっ…あぁ、あんっ!」

 胸を弄られながら弱いところを抉られ、信じられない程深いところを穿たれる。

「ああんっ、ふぁ…あぁぁ!」

 腰を捕まれ、内壁を激しく穿たれる。
 苦しい息の下、目を開ければ、パパの瞳に映る自分の顔。
 パパが私を見てくれてる。ただそれだけでこんなにも心が満たされていく。

(やっぱり、パパが好き……。大好き)

 ふいに、涙が出そうになる。

「花白ちゃん、痛いの?」

 心配そうな声に、慌てて首を横に振る。

「ううん、違うの。幸せだなって思って」

 幸せでも、涙が出るんだね。

「じゃぁ、ずっと泣いてて良いよ」

「ぷっ、何それ。あっ、あんっ! あっ……はぁ、んっ、んっあぁん!」

 膣を穿つ楔が大きくなり、パパも限界が近いことが分かった。

「あっ、あっ! ……あぁっ!」

 絶頂を迎えた瞬間、パパの動きが止まり、最奥に叩きつけられる熱い飛沫。

「はぁっ、はぁ……んっ」

 荒い息のもと、抱き締め合ってキスをする。

「……ふ、んっ」

 ズルリ…と剛直が引き抜かれ、私は甘い息を吐いた。
 気を抜くと、急に睡魔が襲ってくる。

(このところ、ちゃんと寝てないからな。安心して、眠気が来たのかも……)

 目を閉じると、足の狭間……パパを受け入れていた場所に違和感を感じた。

「んっ、パパ?」

 眠気を堪えながら、パパを見上げる。
 次の瞬間。

「ひゃぁんっ!」

 一気に挿入される、灼熱の楔。

(どうして……)

「まだ、眠らせてあげないよ。僕に黙って出掛けてたお仕置きをしないと、ね?」

(ね? じゃないよ!)

「嘘っ! はんっ…あっ、あんっ!」

 この日私が眠りにつけたのは、明け方になってからのことだった―――



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