『年上の恋人』(2)



「もう濡れてるね。少し前にシタからかな?」

「やっ……知らなっ……ぁぁ!」

 信の指がニ本、蜜部の中に入ってくる。
 ナカはしっとりと濡れていて、潤いの無い指を柔軟に受け入れる。

「んっ……、んん!」

 入れられた指を抜き差しする度に、濡れた音が室内に響く。

「蓮、ナカが熱いね。内壁が指に吸い付いて離れないよ? 私の指が熱で溶けてしまったらどうしょうか?」

「そんなこ……あっぁ、あんっ動かさなっ…ぁぁ!」

 溶けるわけない。そう言いたいのに、口が紡ぐ言葉は意味を成さない喘ぎ声ばかり。
 どのくらい時間が経ったのか、身体が熱を持ち、膣内は指を入れられているのにも関わらず、物足りなさげに収縮を繰り返す。

「蓮。指だけじゃ物足りないかい?」

(指だけじゃ、……足りない)

「んっんんっぁっ……欲しいの。信…さんが欲し……ふぅっ!」

 信さんが欲しい――そう訴えると、信は満足気に頷いて指を抜き、スラックスのベルトを外した。
 取り出された信の屹立は既に硬く、すぐにそれにスキンを被せ、蜜部に宛がった。

「……挿れるよ?」

 言葉をかけられ、目をつむりながら頷く。
 挨拶をするように優しく蜜部に擦りつけるようにした後、一気に膣内を突き上げられる。

「あああぁぁん!!」

 突き上げることで硬度を増したソレは、蓮の感じる場所を突くように抜き差しを繰り返す。
 結合部からは、ズプズプという濡れた音と肌のぶつかる音が聞こえ、蓮の羞恥心を煽る。

「だめっそこ、突かなっ……ああぁん!」

「駄目じゃないだろう?ここは蓮の好きな場所だものね」

 感じる場所を指摘され、カッと体温が上がるのを感じた。

「言わなっ……ああっ、ああん!」

 ズンッ、ズン、と突き上げられ、信の望むままに喘ぎ声が部屋に響く。
 信も限界が近いのか、ゆっくりだった抽挿が次第に速くなっていく。

「蓮……」

 律動の間に吐息混じりに名前を呼ばれる。

(信さんも、私で感じてくれてる?)

「んっ! ……ね、信さんも…気持ちいい?」

 快楽の波に溺れながら、問いかける。

「―――!?」

 その瞬間ピタリ、と信の腰の動きが止まる。
 蓮は急に止まってしまった律動に、続きを促すように無意識に腰を動かす。

(全くこの子は……とんだ小悪魔だね。今の言葉は…)

 信は己の男根が一気に張りつめたのが分かった。
 蓮の可愛らしい問い掛けに煽られ、どうしようもなく昂ぶってしまう。

「ん!? あぁ……あんっ!」

 荒々しく腰の動きを再開させ、蓮の中を奥深く抉る。

「あっああ、んぅ!」

 激しい抽挿に、蓮が限界を迎える。

「も、いっちゃ……、あああ――!!」

 頭の中が白い光りで満たされる。

「くっ……!」

 イク瞬間に膣内が収縮し、胎内の奥深くで信の欲が弾けるのが分かった。
 行為の後、ズルリ…と胎内から信のモノが抜かれ、内壁は物足りなさを感じて伸縮を繰り返す。

「んっ……! 何か、今日の信さん、いつもより激しかった……」

 甘い時間を過ごした身体は、まだ芯に熱を持っている。
 汗ではりついた前髪を、信が優しく梳いてくれる。蓮はその心地良さから信の広い胸に顔を埋めた。

「そうかい?」

 蓮は行為の後に甘えるこの瞬間が好きだ。このまま離れずにいたいとさえ思ってしまう。

「……うん。それにね、前に本で四十歳近くなると、体力が衰えてくるって……」

 言葉の途中で蓮の髪を梳いていた信の動きがピタリと止まった。

「蓮。それは普段の私には体力が無いと言っているのかい?」

 まるで地を這うような、低い声。

(………は?)

 蓮は驚き、思わず信を見上げる。

「えっ!? 違うの。そう言うことじゃなくて……」

(そうテレビで言ってたんだけど、信さんはすごい体力あるよねって言おうと……)

「そうか。ならもっと体力があると証明しないといけないね?」

(証明って……、まさか)

 微笑みを浮かべながら、再び蓮の足の間に身体を挟む。

「待って信さん。もうチェックアウトの時間だから、ね?」

 両足を抱え上げ、位置を調節する信に必死に懇願する。

「だからどうかしたのかい? 延ばせば良いだけだからね、心配はいらないよ」

 にっこりと、大好きな笑顔で返される。

「心配とかでもなくてね? えっと……、明日学校だから、体力が……あぁっ!!」

 何とか説得しようと言葉をかけるが、予告なく突き入れられる。

「体力ならあるだろう? 私よりも“若い”んだから」

 でも、信の目は全く笑っていなかった。

(それに然り気無く“若い”が協調されているような……)

 ズプッズプッと激しい律動を開始される。

「あっ! あんっ! ……んっぁ!」

 体力は限界なのに、無意識のうちに突き上げに合わせて腰を揺らしてしまう。

「おや? まだ大丈夫なようだね」

 意地悪く耳元で囁かれ、それだけでもゾクゾクと感じてしまう。

「やぁ! あぁぁ!!」

 信のモノは確実に蓮の弱い所ばかり攻め立てる。
 体の奥深くまで硬い楔を打ち込まれ、不規則な律動に翻弄されてしまう。

「……もう、イっちゃ…」

 耐え切れず、蓮は信に訴える。感じすぎて涙でぼやけてよくは見えないが、笑っていることが気配で分かった。

「まだ、駄目だよ」

 目尻から零れる涙を吸い取りながら、なおも意地悪な言葉。
 信も限界が近いのか、ナカの楔が重を増していることが分かった。
 動きは激しくなり、亀頭は容赦なく弱い部分を突き上げる。

「んっ……あぁああぁ!!」

 耐え切れず、絶頂を迎える。
 絶頂を迎え、膣内もキツク信の楔を咥えるが、それでも尚より奥深くを突いてくる。

「……やっ。駄目……休ませて」

 絶頂感から息を整える時間も無く、荒い息の中に訴える。

「イっちゃ駄目だって、言っただろう? お仕置きだよ」

 そう言って、唇の表面を舐められる。
 薄く唇を開くと、すぐに舌が入ってくる。

「んぅ……っ……ふぁ」

「……蓮」

 口内を探られ、送り込まれる唾液を飲み下す。
 その間も腰の動きは止まらない。

「あふっ……、んぁ……信さ……ぁん」

 甘いキスを受けながら、蓮は信の首に腕を回した――



*END*



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