『デート』(2)



 「……ぅ、ん……」


 ザラザラとした舌で頂きを捏ねるように舐められ、時折軽く歯を立てられる。
 その痺れるような甘い痛みに、蓮は喉奥でうめいた。


「あっ、んっ……ひゃっ……、痛……っ」


 指では頂きをキュッと摘ままれ、乳房も揉みしだかれる。
 弄られ続けた頂きは敏感で、少し触れられるだけで甘い痛みを伴う。


「蓮は痛い方が好きだろう? 淡いピンク色だったのに、ココは弄る度に赤みが増して硬く尖っているよ」

「――ひゃっ!」


 頂きを指で軽く弾かれただけで、甘い痺れが全身を駆け巡っていく。


「胸も潮の味がするね。蓮の大切な場所はどうかな……」

「やっ……、意地悪っ……」


 嫌がることをわざと口にしる信を蓮は睨んだ。
 しかし赤く上気した頬と快感からの涙で濡れた瞳で睨んでも、それはより信の加虐心を煽るモノでしかない。


(いつになったら君は分かるんだろうね。男を悦ばせるだけだと言うことに)


「んっ……、ふっ…ぅん」


 信は唇で少し潮味のする肌を吸い、赤い花を咲かせていく。
 首、胸、腹部。蓮の片足の膝裏を持ち上げ、内腿の際どい場所にも所有印を刻んだ。
 そして触れられて居なかった蓮の蕾に、水着越しに信の指が触れる。

 指は円を描くように蕾の回りを一周し、水着の脇から蕾に人差し指が挿入される。


「……おや? もう濡れてるね。海水と蓮の蜜のどちらかな……」

「しっ……、知らな……ぁんっ!」


 少し粘りけのある液体は紛れもなく蓮の愛液だ。


「本当に? じゃぁ教えてあげないといけないね。これは蓮の愛液だよ」


 蓮もそれを分かっていたのだろう、恥じらうように首を振る。
 その間にも指は内襞を擦るようにして奥へと潜り込んで行く。
 指で膣内をくるりと掻き回すように動かせば、卑猥な水音が奏でられる。


「……ぁ……、ん!」


 指を一度引き抜き、今度は二本に増やして再び挿入する。
 潤った膣内は柔軟に指を迎え入れ、吸い付くように蠢く。


「や……あ、そ…こ……、あぁっ……っ、ふぅ……っ」


 その内襞の動きに信は苦笑し、蓮の弱い場所を突き上げる。
 感じるポイントを擦られ、唇から零れるのは意味をなさない喘ぎ声ばかり。

 自分自身の声の甘さに、蓮は耳を塞ぎたくなった。


「自分の声が恥ずかしいのかい? 私は好きだがね。蓮の甘い卑猥な声。大分ナカも蕩けてきたね。蓮のココが悦んでいる証拠だよ」


 信の言葉に、もはや首を横に振ることしかできない。
 悪戯に愛芽を親指の腹で擦られ、蓮は喉を鳴らした。


「もう私が欲しいかい? 蓮……」


 指をナカでバラバラに動かされたまま問われ、与えられた快感の波に溺れている蓮は、何を言われているのか分からなかった。
 ただ今頷けば、より深い快感を与えられることだけは分かっていた。
 弱々しくコクリと頷くと、汗で髪の張り付いた額に優しい触れるだけの口づけを落とされる。

 信は膣内から指を引き抜き、上半身を起こし自身の着ていたシャツの前ボタンを全て外し、ズボンから熱塊を取り出した。
 ソレは蓮の淫らな姿に煽られ、既に天を向いて硬くなっている。


「蓮……、避妊具はあるかい?」


 予め自分で用意していた分はホテルで全て使用してしまった為、残っていない。


「……ん、そ…こ……」


 震える指でベッドの隣にある小物が飾られたサイドボードの引き出しを指さした。
 信は引き出しを開け、新品のスキンの箱の封を開け手早く自身に着けた。

 蓮の股を開かせて身体を入れ、片足を抱え上げる。
 水着の端から自身を蕾に宛がい、戸惑うこと無く一気に屹立を突き入れた。


「――――!? ぁっ……っや、……あぁぁっ!」


 一気に挿入された熱い楔に、蓮は言葉にならない悲鳴を上げた。
 太く長い楔は蕾をいっぱいに拡げ、膣内でドクドクと脈打ちその存在を主張する。


「おっき、い……」


 受け入れた男根の大きさに、蓮は苦し気に顔を歪ませた。 
 しかし、今の信に蓮を気遣う余裕は無い。

 水着から零れた乳房、水着を脱がず布の脇から突き刺さる自身の雄。
 その姿はとても扇情的で、自身を昂らせるのには十分だった。


(愛する蓮の淫らな姿を見て昂らないわけがない……)


 楔は蓮がその大きさに慣れる前に律動を開始した。


「あっ…、あんっ……まだ動かな、……ああぁっ!」


 何も考えず、自分の欲望のままに支配したい衝動を理性で抑え、信は蓮の悦ぶ場所を穿つ。
 細い腰を掴み、膣内を抉るように突き上げる。


「すまないね、蓮」

「ふぁっ! あっ、あっ……ぅん、はんっ……」

「蓮、気持ちいいかい?」

「……いい。気持ちい……んっ、ふぅっ……もっと……、て……」


 亀頭でイイところを穿ちながら言えば、熱に浮かされたように蓮はもっと…と口にする。
 信はそれに応えるようにより深い場所を目掛けて突き上げていく。


「あぁっ……っ……、激し…あっ……んん……ふぁ……っ……」


 入り口まで引き抜いては最奥へと一気に突き入れる。
 同時に指で愛芽を摘まんだり、指の腹で捏ねるように押し潰せば蕾が楔を締め付ける。

 蓮は人形のように揺すられるまま喘ぎ、信の腕を掴んで快感に悶えるばかり。


「あんっ! はっ……、はぁ…んんっ……ぁふっ……」


 律動は激しさを増し、蓮はどんどん登り詰めていく。


「あっ、あぁ―――っ!」


 ズンッと最奥を穿たれた瞬間、蓮は悲鳴を上げて達した。


「くっ……!」


 膣が信の楔を強く締め付ける。数回突き上げた後、搾り取るような締め付けに信も達し、最奥で白濁を放った。
 信は行為の余韻でぼぅっとした蓮の頬を両手で包み、唇を軽く啄んだ。


「んっ……」


 先程の激しさと相反した優しい仕草に、蓮はふわりと笑った。
 その笑顔にまた信の鎮まった熱に火がつきそうになったが、流石にこれ以上蓮に負担をかけることは出来ず、理性を総動員して耐えた。
 繋がったままだった楔を引き抜き、蓮にベッドを残したまま信はバスルームへと向かった。

 海水と体液で汚れた蓮を風呂に入れる為だ。
 海に入る前に準備したのか、白い円形の浴槽には湯が張られており、熱帯の花が浮いている。

 信は再びベッドに戻り、まだ余韻に浸っている蓮の水着を脱がし、抱き上げてバスルームへと向かった。
 湯船に蓮を後ろから包み込むような体制で浸かり、信に背中を預けるように凭れかかっている蓮の肩に手で掬った湯をかけてやる。


(無理をさせてしまったね……)


 未だ半分放心状態にある蓮は、何の反応も示さない。

 
(初めて見た蓮の水着姿に欲情したなど、蓮には絶対に言えないね……)


 恋人に無理をさせるとは自分もまだまだだと反省していると、蓮の白い肩がピクリ…と僅かに動いた。


「蓮、大丈夫かい?」


 意識が戻ったか確認する為、信は蓮の顔を覗き込んだ。


「んっ…………」


 睫毛を震わせ、蓮はゆっくりと目を開けた。


「あれ? ここ………、きゃぁぁ!!」


 頭が追い付いていないのか暫くぼんやりとしていたが、浴槽に入れられていることに気付き、恥じらうように三角座りをして秘部と胸を隠した。
 その仕草が可笑しくて信は笑った。


「蓮の裸ならもう何度も見ているのだけどね」

「そう言う問題じゃないの!」


 怒ったように言う蓮に、信は宥めるように頭を撫でてやる。
 恥じらっているのだと、信はちゃんと理解していた。
 撫でられている内に落ち着いて来たのか、蓮は甘えるように信の胸板に頭を凭れかけさせた。


「……ね、信さん。……怒ってる?」

「どうしてだい?」

「今日の信さん意地悪だったし、は……激しかったから……」


 次第に声は小さくなっていったが、信には聞こえていた。
 水着に欲情した信を、何も知らない蓮は怒っていると勘違いしているのだ。


「怒ってはいないよ。可愛い蓮の姿に苛めたくなってしまったのかもしれないね。ただ、今度からデートの時は事前に言うんだよ? 驚いてしまうからね」


 何より薬で眠らされていたとは言え、気付かず運ばれたことが年上の男としては情けなかった。
 勝手な行動をした自覚があるのだろう、信の咎めるような言葉に蓮はシュンと項垂れた。


「ごめんなさい……」


 今にも泣きそうな顔で謝る蓮に、信は蓮の身体を抱き締めた。


(……私も大人気ない。蓮を泣かせてどうするんだ)


「すまないね、蓮。泣かせるつもりはなかったんだが。今度は二人で決めよう」


 抱き締めたまま宥めるように頭を撫でれば、蓮はコクリと頷き信の背中に腕を回した。


「午後になったら一緒に海に行こうか……」

「うん……。ふぁ……、ぅん……んん……っ」


 信の提案に蓮は頷き、二人は自然に唇を重ねた。


 明後日には、日本に帰らなければならない。
 せめてそれまでは、寂しい思いをさせてしまったこの可愛い恋人を、うんと甘えさせてあげようと信は心の中で誓い、蓮を抱き締めた腕に力を込めた―――



*END*

貴子様に捧げます。
キリリク有難うございました。



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