おまけ
テスト最終日、夜。
蓮と点数を教え合った結果、合計得点で僅か四点差で千早が負けた。
前回の学力テストの点数と比べて平均点が大幅に上がっていたことは嬉しいのだが、それだけに蓮に負けたことが悔しい。
信に結果をメールで報告し、気晴らしに友達とゲームセンターで遊んでから千早は帰宅した。
「くそっ、また負けた! 今回は自信あったのに勝ち誇った顔しやがって、今頃親父とイタメシ食ってると思うと、余計腹立つぜ。あーあー、メシメシ!」
イライラとしたまま信が作り置きをしてくれている夕食を食べようと冷蔵庫を開けると、中央に置かれた銀色のバットが目に入った。
小さな正方形のバットの中には、ラップのかけられた耐熱ガラスのカップが四つ並んでいる。
そのカップの一つには、メモ用紙が乗せられていた。そのメモを見て、千早はプッと笑った。
「全てお見通しってか。ご褒美のつもりかよ、親父。仕方ねーから食ってやるか」
言葉とは裏腹に、千早は嬉しそうにバットの中からクリーム色がかった物体の入ったカップを一つ取り出した。
千早へ―――
蓮には負けてしまったけれど、大切なのは前回よりも点数が上がっていることだと思うんだ。
お前は最近代わり映えしない点数ばかり取っていたから、今回は蓮が良い刺激になったんじゃないかい?
たまには本気を出してみるのも悪くないだろう?
千早好みの美味しい店を調べておくから、お祝いに今度三人で食べに行こう。
だから今日のところは、プリンで我慢してくれ。
よく頑張ったね、千早。
信
*END*
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